驚愕!「ミーはおフランス帰りざんす!」ってのは40年前のギャグ漫画のネタだった!
内田樹 氏のエントリで、
- 日本は人口一億人あるので、日本語だけでもやっていける需要がある
- そもそも、世界の国々はそれぞれ立ち位置が違うので、他の国のやり方を、そのまま持ち込むのは愚か
という趣旨のことが書かれているのだけど、この部分に対して Dankogai 氏が
404 Blog Not Found:「内向き」で問題ないのは売文家ぐらい
と、「フラット化、グローバリゼーションで、そんな悠長なこと言ってられねーよ!」と脊髄反射エントリ。確かに、昨今、フラット化で、英語能力が問われる分野というのは増えていますし、私自身もそれを感じて英語学習に力を入れています。
しかし、内田樹 さんのエントリの神髄は、1つめの内需で十分という話よりもむしろ、2つめの「そもそも、世界の国々はそれぞれ立ち位置が違うので、他の国のやり方を、そのまま持ち込むのは愚か」にあると思います。特に素晴らしいと思ったのは、以下の下りです。
ある人が、立て続けに人生上の選択に失敗していたとしたら、私たちはその理由を彼が「成功した誰かの直近の事例をそのつど真似していないこと」にではなく、むしろ「彼の選択の仕方そのものに内在する問題点」のうちに求めるであろう。ふつう私たちがバカなのは、私たちが「りこうの真似をしていない」からではなく、端的に私たちがバカだからである。
確かに、日本に住む我々は、フラット化、グローバリゼーションに右往左往しています。だからといって「僕は、マッチョだから、こんな島国のお前らの話など聞かないで、世界のやり方でやるよ。」などと言う前に、日本の世界における強みと弱みを分析し、無批判に海外の様式を取り入れることなく我々の地政学というものを共有し、まずご近所さんの私たちが、みんなうまくやっていくことを考えるべきでしょう。
失礼だけれど、骨の髄まで国内仕様でありながら、世界標準を満たしていると思い上がっている人間は、自分が世界標準とまるで無関係な「ドメスティックプレイヤー」であることを知っている人間より、さらに世界標準から遠いのではないかという危惧はお伝えしておかなければならない。
慧眼の赤塚不二夫氏はこのような方を象徴する「イヤミ」氏なる人物を、すでに40年前に描いていらっしゃいました。「ミーはおフランス帰りだから、大丈夫ザンス。」とか、「おフランスではこうするザンス。」とか叫ぶことは、少年誌でもギャグ漫画のネタとして分類されていました。
帝国主義国家が植民地獲得に進出して、よその人々を斬り従えたのも、「世界市場に進出しなければ(たのしく)飯が食えない」と彼らが(たいていの場合は根拠もなく)信じ込んだからである。
さらに加えると、植民地の側にも同様の事を信じ込ませ、様々な物を売りつけることに成功したからです。このことを思うと、シリコンバレーで成功したことで、注目を浴びているアルファブロガーの面々には、もし米国のエージェントでいらっしゃらないのなら、そして日本語でものを書くならば、ただ、「グローバリゼーションスゲー、その波にのった俺スゲー、おまいらもカモーン」と、日本人を英語圏にただ引きずり出すためのエントリを書く前に、大多数の日本語を読む人達が本当に解決すべき問題を一緒に考えて欲しいと切に願います。
地政学という観点で、日本の見直しがより進みますように。